美容師アシスタントをやめたいけど、どうしようか迷ってる……。
せっかく美容師免許を取ったけどアシスタント業務がブラックすぎてもうやめたい。
夢とあこがれを持って美容師を目指したものの、アシスタントの仕事がつらくてもう辞めたい、という人はたくさんいますよね。
その数は、全体の半数以上(!)といわれています。
この記事では、美容師アシスタントをやめたい「あるある」な理由と、いったいなぜそんなに美容師アシスタントがきつい仕事なのかを詳しく調査しました。
美容師アシスタントをやめたいときはどう動けば良いのか、やめずに美容師になる方法はないのか?そんなところにも切り込んで解説しているので、ぜひ参考にしてください。
※2024年4月の情報です。
※実際の業務は美容室によって異なります。
美容師アシスタントをやめたい8つの理由
美容師アシスタントをやめたい理由でよく聞かれるのは、以下の8つです。
激務すぎるからやめたい
美容師アシスタントをやめたい理由のひとつとして、仕事が激務すぎることがあげられます。
美容師アシスタントの業務は、開店準備から始まって閉店後の後片付けまで、多岐にわたります。
具体的には、以下のとおりです。
・予約ブースのセッティング
・受付、案内
・シャンプー
・スタイリストのサポート
・店内清掃
・施術後の後片付け
・電話応対
・消耗品の補充
このように、美容師アシスタントはほぼ休みなく仕事があり、土日祝は休憩を満足にとれないサロンもあるといわれます。
激務で体調を崩したり、精神的にストレスがたまったりして、美容師アシスタントをやめたいと思うのも、不思議ではないかもしれません。
収入が低すぎるからやめたい
収入が低いのも、美容師アシスタントをやめたい人が多い理由のひとつです。
美容師の平均収入は年300万~350万円ですが、スタイリストとしてデビューする前のアシスタントの収入は、平均年収約200万円といわれています。
月収にして16万~17万、税金や保険料を差し引いた手取り額は1カ月13万5,000円ほどになります。
仕事がハードなのに収入が低いのは、美容師アシスタントの大きなデメリットであることは間違いありません。
やめたいと感じる人が多いのも、仕方のないことといえるでしょう。
拘束時間が長すぎるからやめたい
美容師アシスタントは、拘束時間が非常に長いです。開店前から閉店後まで仕事がひっきりなしに続くため、もうやめたい!と思う美容師アシスタントは少なくありません。
また、閉店後の後片付けや清掃が終わってからは、スキルアップのための練習がおこなわれることもあります。
仕事がある日は、プライベートな時間をすべてあきらめなければならないほど忙しいサロンもあるでしょう。
アシスタントを卒業できるまで、このような日々がずっと続くことを考え、早くやめたいと感じる美容師アシスタントも多いようです。
手荒れや腰痛がひどいからやめたい
美容師の職業ともいえる手荒れや腰痛に悩まされ、仕事をやめたいと感じる美容師アシスタントもいます。
シャンプーや道具洗浄が原因の手荒れは、仕事を続ける限り完治することがなく、皮膚科を受診する美容師は少なくありません。
また、アシスタントの仕事に不可欠といえるシャンプーが原因で腰痛を起こすこともあります。
中には、やめたいわけではないけれど健康的な問題でやめざるをえないという美容師アシスタントもいるようです。
上下関係が厳しすぎるからやめたい
サロンにもよりますが、上下関係が厳しすぎるから美容師アシスタントをやめたいという人もいます。
もともと理美容業界は師弟関係が固いのが特徴で、それが現在でも受け継がれているのが現状です。
直属の上司や教育係の先輩と合わないという人や、パワハラで悩む人も少なくないでしょう。
しかし、どの業界にも先輩後輩関係は存在するため、ある程度の割り切りが必要かもしれません。
いつまでたっても下積みが終わらないからやめたい
アシスタント期間がいつまで続くのかわからず、モチベーションを失って美容師をやめたいと感じる人も多いでしょう。
アシスタント期間はサロンによって異なり、よほどのことがない限り設定した年数で卒業できるケースや、仕事ぶりで判断されるケース、サロン独自のテストを合格する必要があるケースなどさまざまです。
アシスタント卒業のタイミングが曖昧なサロンの場合、いつまでたっても下積みが終わらないように感じ、やめたいと思うのは当然のことかもしれません。
美容師に向いてない気がするからやめたい
アシスタントとして修行をするうちに、自分は美容師に向いていないのではないかと感じる人も少なくありません。
仕事でミスを連発してしまったり、上司や先輩から厳しく叱責されたりすると、アシスタントの時点でつまずくならもうやめたいと感じるのは当たり前でしょう。
仕事のミスがきっかけで美容師アシスタントをやめたいと思う人は多いですが、本当に美容師に向いていないかどうかを決めるためには、冷静な自己分析も必要です。
美容師の職に希望を持てないからやめたい
先輩美容師を見ていて、美容師という職に希望が持てないと感じるアシスタントもいます。昇進や昇給のチャンスが少なかったり、頑張っていてもなかなか指名が取れなかったりと、美容師になっても悩みがなくなることはありません。
スタイリストデビューをした後のことを想像し、このままアシスタントを続けるくらいなら、思い切ってやめて異業種に転身しようと考える人も多いようです。
アシスタント期間を避けては美容師になれない
実は、美容師アシスタントという期間は絶対に必要なものではありません。にも関わらず、まるで当たり前のようにアシスタント雇用があるのはなぜなのかを解説します。
そもそも「アシスタント」とは
美容師アシスタントとは、理美容業界で認められていた「インターンシップ」の名残です。
これは、かつては法的に認められており、簡単にいうと「現場でプロとして育成する代わりに安い賃金で労働をさせる」というものでした。
しかし、1998年になってインターンシップ制度が廃止され、専門学校で知識と技術を学ぶ期間が最低2年間(1997年までは1年間)に変更されます。
この改正により、1年間の専門学習+現場での修行が、2年間の専門学習のみというスタイルに変わったのです。
学習期間が2年間に伸びてもアシスタント制は健在
専門学校の修学期間が2年間に伸びたことで、インターンシップは廃止されました。
しかし、理美容業界では「新人の修行」が必須とされる風習が今でも残っており、「アシスタント」と名前を変えて現在に至っています。
厳しいアシスタント期間を過ごしている現役美容師の中には、専門学校を3年に増やしてもいいからアシスタント制度を廃止にして欲しいと願う人も、少なからずいるかもしれません。
アシスタントにとってブラックすぎる企業も…
もともとのインターンシップ制度の名残で、現代の水準にするとブラックすぎる企業もあります。
時給にすると最低賃金を割るケースもあるため、生活が苦しくて美容師をやめたいと考えるアシスタントが多いのも仕方がないかもしれません。
また、上司や先輩のパワハラに泣き寝入りせざるをえなかったり、不必要な業務まで押しつけられたりするなど、アシスタントにとって過酷な環境が存在するのも事実です。
美容師アシスタントをやめたいときはどうすればいい?
美容師アシスタントをやめたいときは、きっぱりやめて問題ありません。上手なやめ方・やめるタイミングを解説します。
入社後半年でやめても問題なし
結論からいうと、美容師アシスタントをやめたいときはいつやめても問題ありません。
なぜなら、アシスタントであっても雇用契約は成立しているため、労働者は自分の意思で契約を解除する権利があるからです。
法的には、契約解除の意思を伝えて2週間後に実行できることが認められています。
極端にいうと、入社翌日に退職の意思を伝えれば、入社半年後に辞めることが可能なのです。
やめる前に他店の情報収集をするのも大事
美容師アシスタントをやめる前には、念のため他店の情報も探っておきましょう。
就職した美容室がブラックな場合は、きっぱりやめて問題ありません。むしろ、やめずに頑張り続けることが結果的にマイナスになります。
しかし、就職した美容室がアシスタントにとって厚待遇である可能性もなくはありません。
その場合、仕事がつらいからやめたいといってあっさりやめてしまうと、後悔してしまいます。
美容師アシスタントになって毎日仕事に追われていると、視野が狭くなります。
美容学校の同窓生に話を聞いたりSNSで情報を集めたりして、自分の仕事環境がどの水準にあるのかを把握しておくことも大切です。
やめたいときは「やめる」とはっきり伝える
やめることを決意したら「やめたいと思っている」など曖昧な言い方ではなく、やめる意思をはっきりと伝えましょう。
雇用している側は、アシスタントを一人前のスタイリストに育成し、店の力になってもらいたいと思っているはずです。
そのため、迷いのある伝え方をすると引き留められる可能性が高いです。
また、誰もがアシスタント時代を乗り越えて美容師になっているなどと精神論を出されるケースもあり、一刻も早くやめたいと思っている人にとっては、二重のストレスになってしまいます。
次の仕事のめどをつけてからやめる
美容師アシスタントをやめる前には、必ず次の仕事をみつけておきましょう。
美容師アシスタントは、世間からは「半人前」というポジションで見られています。
そのため、アシスタントを卒業する前に離職することは非常にマイナスになり、転職活動がスムーズに進まない可能性があります。
美容室をやめた後、無職の期間が続いて焦りが生まれ、生活費を稼ぐために非正規雇用に甘んじてしまう人も少なくありません。
退職の意思は1カ月前に伝える
退職を決めたら、できるだけ早く雇用主に伝えてください。
原則2週間前ではありますが、悪い印象を残さないためには、1カ月前に伝えておくのがおすすめです。
また、GW前や学生の夏季冬季休暇前を避け、できるだけお店に迷惑がかからないようにしましょう。
仕事が嫌でやめたいと思っている美容師アシスタントにとっては、「自分には関係ない」と思うかもしれません。
しかし、美容業界は非常に狭いところです。
いつか美容業界に戻る可能性を考慮し、悪い噂が残らないようクリーンなやめ方を心がけましょう。
美容師をやめたいアシスタントにおすすめの転職先
仕事をやめたい美容師アシスタントにおすすめの転職先は、以下の3つです。
アイリスト在籍のエステサロン
美容師になるのをやめたいと思っているアシスタントには、アイ・メニューがあるエステサロンがおすすめです。
なぜなら、眉ブロウやまつ毛パーマ、マツエクなどのエステサロンは近年需要が伸びている上、美容師免許を取得している人でなければ施術ができないからです。
サロンに就職してからは研修期間がありますが、せっかくの美容師免許を生かせる職場としては、もっともおすすめといえるでしょう。
トータルエステティックサロン
エステティシャンに転身するのも、仕事をやめたい美容師アシスタントにおすすめです。
エステティシャンは無資格でなれる職種なので、美容師免許を持っていることでランクが上がり、顧客からの信頼も得られるようになるでしょう。
しかし、美容師とエステティシャンはまったく違う職種であるため、就職した後はサロン独自の研修があります。
美容師アシスタントほど長い期間ではありませんが、新人として一から修行する気持ちで始めなければなりません。
完全異業種に転身するのもひとつの手段
美容室勤務をつらく感じているアシスタントの中には、美容業界自体をやめたいという人も少なくありません。
その場合、思い切って異業種に転身するのもおすすめです。
立ち仕事や肉体労働がきついからやめたいという人は、デスクワークを中心に求職活動をおこなうのも良いでしょう。
また、接客サービス業をやめて完全内勤の仕事を探してみるのもひとつの手段です。
しかし、美容学校を卒業して美容業界以外の業種に就職する場合、必ず理由を問われます。
前職の不満は口にせず、応募先に仕事をいかに興味を抱いているかをしっかりと伝えましょう。
本当にやめたい?美容師アシスタント期間を乗り切る方法
美容師をやめたい気持ちとうまく折り合いをつけ、アシスタント期間を無事に卒業する方法を、5つに分けて紹介します。
アシスタント業務も仕事のうちと割り切る
美容師アシスタントは、美容師になるためには避けては通れない期間です。
美容学校の修習期間が1年から2年に伸びてからのアシスタント期間は、現状では確かに矛盾していますが、アシスタントして美容室に就職した個人がどんなに頑張っても、現行を変えることは難しいでしょう。
そうであるならば、アシスタントをひとつの仕事と割り切って働くしかありません。
収入がなかった学生時代と比べると少なからず稼げていることや、社会保険や福利厚生が整っていることなど、メリットを並べてみてください。
他の多くの業種と同じように、美容師アシスタントもりっぱな仕事であることがわかるはずです。
将来の自分をリアルに想像する
美容師アシスタントの業務がきついと感じるときは、スタイリストになった後の自分の姿をリアルに想像してみましょう。
どんな美容師になりたいかという漠然としたイメージだけではなく、具体的に以下のような想像をしてみるのがおすすめです。
・スタイリストになってから使うシザーセットやエプロンのデザイン
・初めての指名客がどんな人か
・アシスタントがついたらどう接してあげるか
・いずれ独立したらどんなサロンを持ちたいか
想像力は、モチベーションを維持する助けになります。
また、職場の先輩美容師を理想にしたり、逆に反面教師にしたりして、きつい期間を乗り越えるのも良いでしょう。
短期間で達成できる目標を立てる
美容師アシスタントの毎日がつらすぎて、将来のことまで想像するのは無理という人は、短期間の目標を立ててみましょう。
具体的には、以下のとおりです。
・顧客と1対1で1日10回以上会話をする
・上司や先輩に1日5回以上ほめられる
・シャンプーの指名を取る
・ため息を1日3回未満にする
このように、頑張ればすぐに達成できそうな目標があると、仕事を続けるモチベーションが生まれます。
また、クリアした後の、小さなごほうびを用意しておくのも忘れずに用意しておきましょう。
仕事以外の楽しみや気分転換方法を見つける
仕事以外の楽しみや気分転換、ストレス解消法を見つけるのも大切です。
なぜなら、美容師アシスタントの仕事が楽しくない場合、1日の大半が嫌なことで終わってしまうからです。
そんな毎日を続けていると、身体的にも精神的にも疲れてしまうのは当たり前です。
休みの前の日にぜいたくな食事をしたり、休日は1日中好きなことをしたりするなど、「楽しみのために仕事を頑張れる」環境を作りましょう。
さらに、1カ月に1回のペースで特別な楽しみを用意すると、アシスタント期間もあっという間に終わるかもしれません。
アシスタントにとってホワイトな美容室に転職する
美容師アシスタント期間を無事に終わらせる、もっともおすすめの方法は、アシスタントにとって働きやすい美容室を見つけることです。
アシスタントにとってホワイトな職場の基準は、以下の4つです。
・初任給が高め
・アシスタント期間が決まっている
・休憩時間を含め勤務時間が決まっている
・福利厚生が充実している
インターン制度の名残があり、美容業界では「修行中のアシスタントはハードワークに耐えて当たり前」という風潮があります。
しかし、今はそういう時代ではありません。
現在の働き方に適した、時代に合った労働環境が整っている美容室も増えています。
今の職場をやめたいけどやめた後どうすればいいんだろう?と迷っている人は、まずホワイトな美容室の求人を探してみてください。
美容師をやめたいアシスタントはまず転職先を探そう
美容師アシスタントは、離職率が非常に高い職種です。
多くのアシスタントが、美容師になる前にやめたいと感じ、実際にやめてしまう人は少なくありません。
しかし、美容学校で専門スキルを学び、国家資格まで取得したのにすぐにやめてしまうのはもったいないのも事実です。
アシスタントでもひとりのりっぱな社会人として扱ってもらえる美容室を探し、一人前の美容師になれるまで頑張ってみましょう。