一般的な美容室では、営業時間前に出勤して開店準備をしたり朝礼やミーティングをしたりするケースがほとんどです。
開店時間の30分~1時間前に出勤という美容室が多いでしょう。
ディレクターや店長クラスになると、予約確認やレジの準備などでさらに早く出勤しなければならないこともあります。
休憩時間は非常にあいまいなもの
1日8時間勤務の美容師には、1日1時間以上休憩をとる権利があります。
しかし、会社員のようにまとめて1時間休めるケースは少ないでしょう。
30分×2回や20分×3回などに分けて休憩時間を設定している美容室もありますが、中には、施術中のパーマやカラーの放置時間を利用して休憩をとるルールの美容室もあります。
この場合、どのくらい休憩をとれたかはっきりわからないため、法で定められた1時間を満たしていない可能性も高いです。
また、休憩中でも電話応対や来客への対応をしなければならないこともあり、美容師の休憩事情はかなり「なあなあ」になっているのが実情です。
閉店後に清掃や後片付けがある
美容師は、お店が閉店した後も残って店内清掃や後片付けをしてから退勤するのが一般的です。
そもそも、閉店時間ぴったりに施術が終わるとは限らないため、最後のお客が帰るまで全員が残らなければならない美容室もあります。
閉店時間が19時の場合、すべての業務を終えて退勤するのは20時過ぎになるケースが多いでしょう。
管理職についているスタッフは、翌日の予約やシフト確認、売り上げ管理などの業務が発生し、さらに労働時間が長くなることもあります。
練習のための居残りがある
スタイリストとしてデビューする前の美容師アシスタントは、閉店後も残ってヘアカットの練習をすることもあります。
この場合、教育係としてついている先輩美容師も一緒に残らなければなりません。
また、新しいメニューを導入した後や、コンテストやショーに出場する前に練習を重ねるケースもあります。
美容師はつねにスキルアップし続けなければならない職種のため、規定の労働時間を超過して働かなければならないのが、実態といえるでしょう。
労働時間外にタダ働きさせられる美容師が多いのはなぜ?
残業代を支払ってもらえずに、規定の労働時間を超えて働く美容師が多い理由をまとめました。
固定給に残業代が含まれているケースがある
残業代が含まれた月給で契約している場合、労働時間を超えて働いても残業代は加算されません。
残業代の有無がどうなっているのか知りたい人は、まず入社したときの契約書や就業規則を確認しましょう。
固定給に残業代が含まれる規約であれば、仮に1日の労働時間が12時間だったとしても、泣き寝入りということになってしまいます。
これから美容師として就職する人は、残業代を含めた固定給の場合、1日10~12時間労働を想定して条件を判断してください。
自発的な練習には残業代は支払われない
閉店時間後にヘアカットの練習のための労働がおこなわれた場合、状況によって残業代の有無は異なります。
詳しくは、以下のとおりです。
ヘアカットやスタイリングの練習をさせることは、基本的に、美容室の利益のためです。
そのため、半強制的であったり「練習会に参加しなければお客の担当につかせてもらえない」といった場合は、残業代が発生することになります。
ですが、渋々であっても「なんとなく帰りづらくて閉店後も残った」という場合は、残業代がもらえないことのほうが多いので気をつけましょう。
管理職クラスには残業代は支払われないことが多い
ディレクターや店長など、管理職のポジションにいるスタッフには残業代が支払われないケースが多いです。
なぜなら、労働基準法で「管理監督者には残業代が不要」と定められているからです。
しかし、美容室の管理者すべてが「管理監督者」に該当するわけではありません。
管理監督者の条件は、以下のとおりです。
・経営者と同等の立場で仕事をしている
・勤務時間について厳格に決められていない
・給与や手当を含め地位にふさわしい待遇を受けている